安全で快適な社会基盤整備の一翼を担う
海に囲まれ、決して広くはない国土。急峻な地形。数多くの地震が発生する地勢。容易にはコントロールできない自然環境の中で日本が発展を遂げてきた背景には、建設に関する高い技術があったことは言うまでもありません。世界でもトップクラスの水準といわれる我が国の建設技術は、安全で快適な生活を実現するために、自然の猛威に立ち向かう過程において培われてきたのです。
現存する日本最古のダムとされる狭山池(大阪府大阪狭山市)が建設されたのは、今から実に1,400年以上も前のこと。616年ごろと言われています。それほどの昔から、建設技術が人々の暮らしを支えてきたことの証左にほかなりません。どれほど長い時間を掛けて、どれほどの苦労を伴って作られたものなのか、今となっては知る由もありませんが、このような先人たちの功績が我々の生活の礎となっていることはまぎれもない事実です。
私たち建設コンサルタントの仕事は、このように安全で快適な社会の実現に向けた基盤整備の一翼を担うもの。ですが、構造物を物理的に建設する仕事とは少し違っています。将来の都市像を描くプランの策定。建築物や土木構造物などの計画立案、調査・設計。適切な施工方法の検討、完成までの施工管理。新たに建設する構造物が周囲に与える影響を考察することや、長期的な利用を想定したメンテナンスプランを検討することも重要な役割です。ビルを建てる、道路を整備する、橋を架ける。構造物を造る仕事と比較したら、私たちの仕事は目に留まりにくい分野であるかもしれません。いわば、実際にプレーをする選手とは異なるマネージャーとして、ある時はもう一歩引いたアドバイザーとしての立場から、建設に携わる仕事。これらが私たち建設コンサルタントの業務の柱です。
だからこそ建設コンサルタントには、高性能な重機は必要ありません。最も重要なリソースは、知恵と技術。つまりは「人」です。比喩でも誇張でもなく、人材が最大の経営資源であると言い切れる仕事です。一人一人の技術を高め、個々が持ちうる知恵と技術を結集して相乗効果を生むこと。それが企業としての価値にもつながります。
ステークホルダーはすべての人々
私たちが携わる社会資本の整備には、高い公共性が求められます。利便性や安全性はもちろん、経済効果や環境に対するインパクトも考慮しなければなりません。そのため私たちの業務においても、国土交通省や自治体などの官公庁が主要なクライアントとなっています。もちろん民間企業からの受注も少なくはありませんが、社会のインフラ整備という業務の特性上、公共事業のコンサルティングに携わるケースが必然的に多くなりがちです。
しかし、本当の意味で「顧客」というものを考えたとしたら、実は官公庁でも企業でもないのかもしれません。発注者のその先に私たちが見据えるべき本当の顧客。それはおそらく、私たちが計画に携わる構造物を利用するすべての人々。私たちのステークホルダーは、生活するすべての人々なのです。
建設技術を未来へ託す
社会基盤整備は一朝一夕には成し得ません。計画の実現には、時に長い年月を要します。現在の都市計画法が定められたのは昭和43年。実に半世紀以上も前のことです。昭和40年代には日本中の各地で都市計画が定められ、将来のランドスケープが描かれました。そうしたマスタープランに基づいて、道路や公園、橋梁など具体的な都市構造物の建設計画を策定し、安全でかつ利便性の高い街づくりを目的とした開発が進められてきた経緯があります。
しかし、計画に盛り込まれた一つ一つの事業の中には、未だ実現されていないものが少なくはありません。
依然として着手の見通しが立たないもの、社会情勢の変化の過程で不要とみなされたものがいくつも存在することも事実です。それは社会基盤整備が、それほど長期的な観点で考え、計画しなければならないことを端的に示しているともいえるでしょう。
もしかしたら私たちが携わる仕事の中にも、存命中に完成を見ることができないものもあるかもしれません。その仕事が地図に描かれるのは、もう少し先の未来のことかもしれません。実はそれが、私たち建設コンサルタントの本分ともいえるもの。
いうなれば我々の、建設コンサルタントの仕事とは、現在だけでなく将来の人々に便利で安全な社会を提供するとともに、綿々と続く建設技術を未来の子供たちへ託すものなのです。
ハイレベルな建設技術を世界へ
「建設技術を伝える」という勤めに関していえば、時間軸で捉えた比喩的な表現だけではありません。日本の建設技術が世界的に見てもトップレベルの水準を誇ることは疑う余地がないでしょう。このハイレベルな建設技術を、必要とする世界中の国や地域へ届けていくことも、我々の重要な責務の一つです。日本中の技術者たちが切磋琢磨して、個人の、企業の、そして国としての技術の向上に努める一方で、日本という狭い国土に留まらず、高水準な建設技術を世界各地の国々へ伝えていく役割も担っていかなくてはなりません。それも私たち建設コンサルタントの使命といえるでしょう。
我々の仕事は未来に生き続けるもの。ステークホルダーは、そこに生活するすべての人々です。その言葉を胸に、誇りを持って仕事に取り組む建設技術者の集団。それが私たち、ジーエヌティー株式会社です。